電子部品や半導体の性能を左右する薄膜形成技術「スパッタリング」。その核となるターゲット材料がどのように製造されているかご存知でしょうか。本記事では、ターゲット材料の基礎から、製造プロセスの要となる粉末冶金技術、そして焼結のプロセスで必要となる「粉末成形機」について解説します。
スパッタリング用ターゲット材料とは、スパッタリング法を用いて基板上に薄膜を形成する際に使用される、薄膜の原料となる成形体のことです。
スパッタリング法は、真空中でアルゴンなどのイオンをターゲット材料に高速で衝突させ、その衝撃でターゲット表面の粒子(原子や分子)を弾き飛ばし、対向する基板に付着させて膜を形成する技術です。このプロセスにおいて、叩き出される「的(ターゲット)」となるのがターゲット材料であり、形成したい薄膜と同じ組成で作られています。
ターゲット材料は、私たちの身近な電子機器や最先端デバイスの製造に欠かせない役割を果たしています。主な用途は以下の通りです。
半導体チップ内の配線膜や絶縁膜、コンデンサの電極などに使用されます。回路の微細化に伴い、ターゲット材料には結晶粒の微細化や高純度が求められています。
ハードディスクドライブ(HDD)の記録層や下地膜、読み取りヘッドの製造に使用されます。特に垂直磁気記録方式のHDDでは、複雑な多層膜構造を実現するために、多様な組成のターゲット材が開発されています。
液晶パネルや有機ELディスプレイの透明導電膜、スマートフォン画面の反射防止フィルム(ARフィルム)などの成膜に利用されます。また、リチウムイオン電池材料の作製技術としても注目されています。
ターゲット材料の製造方法は、素材の性質や求められる特性によって、主に「溶解鋳造法」と「粉末焼結法(粉末冶金法)」の2つに分類されます。
アルミニウムやチタン、銅などの金属材料を中心とした製造方法です。原材料を溶解してインゴット(塊)やビレットを作り、それをプレス機や圧延機にかけて薄く延ばし、形状を整えます。圧延加工と熱処理を組み合わせることで、金属の結晶粒径を微細にコントロールすることが可能です。
高融点金属や酸化物、セラミックスなど、溶解法では製造が難しい材料、あるいは複数の素材を複合化したい場合に用いられる方法です。原材料となる粉末を混合し、型に入れて焼き固める(焼結する)ことで成形体を作ります。 粉末焼結法の主な工程は以下の通りです。
複数種類の原料粉末をボールミルなどで均一に混ぜ合わせます。
混合した粉末をカーボン製の型などに充填し、高温・高圧下で焼き固めます。
焼結後の素材を切削や研削加工によって所定の形状・表面状態に仕上げます。
スパッタリング装置に設置するためのバッキングプレートと接合します。
粉末焼結法において、粉末を扱い、所定の形に固める工程で重要な役割を果たすのが「粉末成形機」です。
粉末成形機とは、金属、セラミック、樹脂などの粉末状の原料に圧力を加えて成形するために使用される機械のことです。粉末冶金のプロセスでは、粉末を金型に充填し、プレスすることで高密度な成形体(グリーンコンパクト)を作製、あるいは成形と同時に熱を加えて焼結体を作製します。
高品質なターゲット材料を製造するためには、成形段階での均一な密度分布や組織制御が極めて重要です。
ターゲット製造では、粉末を型に入れ、高温と高圧を同時に加えて焼き固める「ホットプレス機」が使用されます。これにより、難焼結性の材料でも高密度化が可能になります。
より高度な組織制御を行うために、熱間等方圧プレス(HIP)法や、熱間押出プレス機を用いた方法が用いられることもあります。これらは微細で均一な組織を持つ素材の製造に寄与しています。
粉末成形機は、実験室レベルの小型機から量産用の大型機まで様々なバリエーションがあり、ターゲット材料の高性能化を支える重要な製造設備といえます。
引用元HP:三庄インダストリー公式HP
(http://www.sanshoindy.com/)
引用元HP:小林工業公式HP
(https://www.kobayashi-akita.co.jp/)
引用元HP:大伸機工公式HP
(https://daishin-kikou.com/)