ここでは、粉末プレス成型の粉末材料のひとつである「ガラス」について、ガラス粉末の特徴やガラス粉末の成形で作られる製品を紹介します。
ガラス粉末(ガラスフリット)とは、ガラスを粉砕して粉末にしたガラスのことです。
ガラス粉末は600℃以下で軟化や変形、流動するため、電子部品の接合や封着などに活用されています。耐熱性にも優れており、焼成時に軟化・流動した後で結晶化することも可能です。
ガラス粉末は樹脂や溶媒などと混練して使用することもできます。ガラス粉末をペースト状にしたものをガラスペーストと呼びます。ガラス粉末をシート状にしたものは、低温焼成基板にも使用されています。
ガラス粉末の成形(焼結)とは、粉末を固めたものを低温で焼き固めて加工することです。ガラス粉末や金属、セラミックなど幅広い材料に対応できます。
粉末を使用するため材料の無駄がなく、環境にやさしい成形になっています。ガラス粉末の焼結は、セラミック製造で使われます。
焼結は加熱によって原子同士を結合させる加工方法です。融点よりも低い温度で加熱すると、原子同士が結合して焼結体になります。接合時には粒子の隙間が小さくなるため、全体が縮小されます。
焼結は機械部品で広く用いられており、とくに複雑な形状を有する部品に使われます。鋳造よりも形状の自由度が高く、部品との一体化も可能なため機械部品に適しています。
焼結が使われる部品には、自動車エンジンの駆動系部品、小型の歯車などです。
機械加工では削ったときの切粉や半端な切れ端が発生し、材料のロスが出てしまいます。対して、ガラス粉末の焼結であれば粉末を材料にしているため、無駄なく加工ができるのがメリットです。成形するために必要な分量だけを使用すればよく、粉末材料を成形すれば成形後の加工も必要ないため、ロスを減らすことができます。
鋳造やプレス加工よりも歩留まりがよく、材料費も抑えることが可能です。
粉末の材料を自由な形状に成形できるため、複雑な形状にも加工することが可能です。配合度の自由度も高く、任意の形に成形ができます。
さらに、焼結は融点以下の温度で加工するため、低コストでの製造が可能です。混合器で複数の粉末を混ぜて合金を作ることもできます。ほかの加工と比較すると成形の自由度が高い点がメリットと言えるでしょう。
粉末の成形は気孔を含むため、成形後の密度が低くなります。そのため、焼結は溶融金属を使用する加工方法よりも製品の軽量化が可能です。
結晶化ガラスとは、ガラスを熱処理することで内部に結晶を析出させたガラスです。特殊組成のガラスの内部に結晶を均一に析出させることで、従来のガラスにはなかった温度変化に対する強さが備わります。
結晶化ガラスは結晶の作用でほとんど膨張しないため、熱したり直後に冷水を掛けたりしても割れることがありません。
このような特性を持っていることから、電子レンジのターンテーブルや暖炉の前面窓など、身近なアイテムにも広く使われています。
ガラスセラミックスは、ガラスとセラミックそれぞれの性質を兼ね備えた材料です。特殊な製造工程を経て作られており、航空宇宙技術や医薬品製造、科学研究所など、幅広い分野で活用されています。
熱膨張率がほとんどなく、耐薬品性を持つのが特徴です。光学特性を調節できるため、レーザー技術や光学レンズなどに対応する材料の開発にも応用できます。
耐熱性・衝撃性に優れていることから、人工衛星の外装材料として使用したり、精密な機器を保護するために使用されることもあります。
粉末機械工業の粉末成形プレスFK-1型は、成形品の均一性に優れた成形プレスです。粉末機械工業は自動粉末成形プレスを専門に取り扱っており、知識と経験を活かしてモノづくりにこだわっています。プレスの改造や故障の修理にも迅速な対応が可能です。