このページでは金属の特徴、選ぶべき粉体成形機や金属粉末射出成形(MIM)の特徴や金属を粉末成形することのメリットとデメリットをご紹介します。併せて、粉末プレス成形に使用される金属の種類や、金属粉を生成する方法についてもご紹介します。
ここでは金属の特徴を紹介します。粉末材料によって持っている性質が異なるため、それぞれの性質を理解した上で粉末成形を行うことが重要になります。
金属は『塑性変形』と呼ばれる、「外から力を加えて形が変わったら、元に戻らずに変形したままになる」性質を持っています。
そのため金属に高圧をかけると、金属粒子は破壊されずに形が変形します。そして塑性変形して粒子同士が絡み合って強固に接合されて行きます。金属粒子を高加圧成形していくと形が丸からどんどん平たく変形して行きます。
しかし金属成形品の厚みがあればあるほど、加圧力は分散してダイ金型の側圧に変化し下の方には力があまり伝わりません。上の方だけ扁平変形粒子になり、下の方は原料粒子のままほとんど変形せず丸みが残ってしまいます。つまり均一に圧力の掛らず成形密度不均一になってしまうのです。
上記で紹介した特徴を踏まえて、下記では選ぶべき粉体成形機を紹介します。
成形密度不均一を避けるには下からも同じ力で押してあげることが重要です。これが出来ると非常に密度の均一な良いものが出来上がりやすくなります。
更には、一定の正規粒度分布を持った粒子は振動充填する事を推奨します。これを行うと大きい粒子の間に小さな粒子で空隙を埋める事ができ均一充填することが可能になります。
例えばセラミックスで100MPaで押して成形するものがある場合、金属粉末の場合は300~1,000MPaのような超高圧で押していくことで塑性変形を促進できます。そうすると密度も上がりますし、均一なものができあがります。
これから新たに粉末プレスの委託や機械を導入する方は、このような金属の特徴を抑えた上で、依頼をしましょう。
このサイトでは、おすすめの粉末プレス成型メーカーを特徴別に紹介しています。導入を検討している方はぜひご参考ください。
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粉末成形のプロに届く
粉末成形の悩み・受託事例
三庄インダストリー株式会社
代表取締役社長 山本努氏
粉末成形は粉末の粒度によっても成形の細かな数値が変わるなど非常に難しい成形方法です。ここでは受託で粉末成形を行い、たくさんの粉末成形のノウハウを持つ現場の方にお悩み解決方法を聞いてみました。
粉末プレス成形では、圧力をかけられた材料が金型に密着することによって、精度の高い成形が可能です。そのため、成形、焼結後に切削などの機械加工工程をほとんど必要としないため、大量生産に向いています。
粉末プレス成形では、成形体を組み合わせて焼結することで、複雑な形状のパーツを製造できます。さらに、他の加工法を用いたパーツと焼結品を組み合わせることも可能です。
融点が高い金属や硬度が高く機械加工が困難な金属であっても、粉末プレス成形であれば成形が容易です。
粉末プレス成形では成形後に機械加工の工程を行う必要性が少ないため、材料を無駄なく使うことが可能です。工程自体も鋳造や鍛造よりシンプルなので、加工に必要なエネルギーも小さくなります。
原材料の金属には、鉄系のほかに銅系やステンレス系、チタン系、タングステン系、アルミ系などがありますが、粉末プレス成形では金属の粉末を混合することで、さまざまな特性を持たせることが可能です。
混合する物質は金属に限りません。セラミックスの粉末を混合して、摩耗に強いパーツを製造するなど、さまざまな組み合わせが行われています。
粉末プレスによる成形体は、内部に細かい気孔を持っています。この気孔に油を染み込ませることで、潤滑油を必要としない「含油軸受」を造ることができます。含油軸受は、洗濯機や扇風機などの回転軸の軸受として利用されています。
金属を粉末に加工する工程がある分、金属塊より粉末の方が価格が高くなります。
粉末を押し固める方法では金属粒子に隙間(気孔)ができるため、成形体の密度は真密度より低くなります。また、その密度にも若干のばらつきが生じるため、高い強度が求められる場面には適さないことがあります。
粉末プレス成形は金型を使用するため、大型パーツの製造には適していません。成形体内の密度にばらつきがあると、焼結時にクラックが発生する可能性もあります。
粉末プレス成形で使用される金属粉の材質としては、主として純鉄粉、ステンレス鋼粉、高速度鋼粉、合金鋼粉、銅粉などが挙げられます。
金属粉末を生成するには、溶かした地金に水やガスを吹き付けて凝固させるアトマイズ法、化学的に金属粉を生成する酸化還元法や電解法、機械的に細かく粉砕して粉末化するスタンプ・ミル法など、さまざまな方法が用いられています。
金属粉末射出成形(MIM)は、微細な金属粉末を原料とし、これにバインダーを混ぜて射出成形する技術です。プラスチック射出成形の原理を応用し、金属粉末冶金の技術を組み合わせることで、複雑な形状の金属部品を高精度で製造できます。
成形された部品は脱脂・焼結のプロセスを経て最終的な強度と寸法精度を得ることができます。MIMは特に難加工材料であるチタンやステンレスなどの加工に適しており、自動車、精密機械、電気・通信機器、医療機器など多岐にわたる産業での応用が期待されています。加工レスでのコスト削減も大きな利点の一つです。
粉末プレス成形は、精度の高いパーツを大量生産するのに適した加工方法であり、難加工性の金属であっても用意に整形できるという特徴があります。その反面、大型パーツや高強度が求められるパーツには不向きです。
粉末プレス成形に使用される金属粉には、鉄系、銅系、ステンレス系、チタン系、タングステン系、アルミ系などがあり、これらを混合したり、金属以外の原料を混合したりすることも可能です。