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焼結プロセスについて

プレス成形における焼結の役割について

粉末プレス成形では、金属やセラミックの微細な粉末を金型に均一に充填し、高い圧力を加えて目的とする形状に成形します。

このとき得られる成形体は「グリーン体」と呼ばれ、まだ十分な強度を持っていませんが、寸法や形状は最終製品に近いものとなっています。

その後に続く焼結工程では、このグリーン体を素材の融点よりも低い温度で一定時間加熱することにより、粉末同士の表面が固相拡散によって結びつきます。この拡散により粒子間に存在していた空隙が減少し、材料全体の密度が高まるとともに強度や耐摩耗性・耐久性といった機械的特性が大きく向上するのです。

特に金属粉末を用いた場合、焼結によって粒子間の結合が強固になり、気孔率が低く、構造的に安定した部品を得ることも可能です。

焼結のプロセス

粉末調整・混合

焼結プロセスにおける粉末調整は、最終的な部品の性能に直結するため厳格な管理が求められます。具体的には、粉末の粒度分布、形状、純度といった要素が精密に制御され、焼結後に得られる材料の密度や強度、導電性などの特性まで管理・調整されます。

粉末はそのまま使用されるのではなく、造粒工程を経てより成形性を高めた前駆体に加工されます。この造粒には湿式と乾式の2つの方法があり、それぞれの工程でバインダーや潤滑剤と粉末が均一に混合され、圧縮成形時に安定した成形性が得られるよう工夫されています。これにより、焼結前の段階でも均一性や密度分布が整えられ、高精度な部品製造が可能となるのです。

成形工程

金属粉末を金型の中に入れ、その上から圧力をかけてグリーン体と呼ばれる成形体を作ります。この工程は焼結プロセスの最初の重要なステップです。一般的な金属粉末を用いた場合、おおよそ100メガパスカル(MPa)という強い圧力をかけることで、体積の50~60%程度の密度を持つ成形体が得られます。さらに高い圧力を加えると、粉末同士が塑性変形を起こし、より高密度の成形体が作れるようになるのです。

複雑な形状の部品を均一に、かつ高精度に成形するためには、多段階で圧力をかける「多段プレス」や、すべての方向から均等に圧力を加える「コールドイソスタティックプレス(CIP)」といった特殊な手法も使われています。これらの方法によって、複雑な構造を持つ部品でも密度のばらつきが少ない、安定した品質の成形体を作ることができます。

脱脂工程

脱脂工程は、成形工程で加えられたバインダー(結合剤)を取り除く役割を担っています。バインダーは粉末粒子を一時的に結合させ、成形体としての形を保つために必要不可欠ですが、焼結を行う前には、これを完全に除去して粉末粒子同士が直接接触できる状態にしなければなりません。

バインダーが加熱によって分解・揮発していきますが、その過程での昇温速度や雰囲気ガスの種類・流量といった条件を精密に制御することが重要。もし加熱が急激に行われると、バインダーの分解に伴って一気にガスが発生し、それが成形体の内部に圧力をかけてしまいます。結果、クラック(ひび割れ)や層間剥離といった欠陥が生じやすくなり、焼結後の機械的性質や寸法精度にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。

焼結工程

焼結工程では材料の融点の約60〜90%の温度まで加熱し、その状態を数十分から数時間にわたって維持します。こうすることで、粉末粒子間で固相拡散が進行し、それぞれが接合・融合するため緻密な焼結体が形成されるのです。

焼結中に酸化が進むと、粒子間の接合が阻害されて性能低下を引き起こされます。そこで真空炉や不活性なアルゴンガスを用いた雰囲気炉により、酸化を抑えつつ拡散を効果的に促進します。雰囲気制御が精密に行われることで、組織の均一性や密度が向上し、安定した機械的特性が得られます。

さらに高密度で微細な組織を形成するため、加圧を加えながら焼結を行うホットプレス法や、パルス通電による急速昇温を特徴とするスパークプラズマ焼結(SPS)といった技術も活用されています。これらの方法では、従来の常圧焼結では達成が困難だった高密度化や微細組織制御が可能となり、強度や靭性などの機械的特性を向上させることができます。

後処理・仕上げ

焼結後の部品は、機械加工や熱処理、表面改質などの後処理を経て最終特性を付与します。

機械加工は焼結によって高硬度化した部品に対して、厳しい寸法精度や微細な形状要求を満たすために実施されます。特に高精度な公差管理が求められる部品では、焼結後の加工工程が製品の完成度にも大きく影響されるのです。

また、熱処理によって組織の強化が図られたり、耐摩耗性や耐食性といった特性が強化されることもあります。加えて、表面にイオンプレーティングなどの表面改質技術を施すことで、過酷な使用環境でも性能を維持できるようになるでしょう。

製品の品質を保証するためには、厳密な検査も重要です。たとえば、密度のばらつきや内部欠陥を確認するために、アーチメディアン法を用いた密度測定が行われます。これは部品の体積と質量から密度を割り出す方法で、成形や焼結の均一性を評価する上で有効です。

そのほか、微小X線CTスキャンによる非破壊検査では、内部にクラックや空孔などの欠陥がないかを三次元的に確認できるため、製品の信頼性向上のためにも利用できるでしょう。

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