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鋳込成形

陶磁器の伝統的な成形方法のひとつである鋳込成形は、セラミックスの成形でも多く用いられる手法です。このページでは、鋳込成形の概要とメリット・デメリットのご紹介と、ほかの成形方法との比較を行っています。

鋳込成形とはどんな成形方法?

鋳込成形は、古くから陶磁器の成形に用いられてきた手法です。

鋳込成形では、セラミックスの原料粉体に水などの溶媒を加えて泥状にしたスラリー(泥漿:でいしょう)を、吸水性の鋳型(石膏型など)に流し込みます。

成形体を中空にする場合、着肉(水分が鋳型に吸収され、型に触れている部分に堆積層が形成された状態)後に、残りのスラリーを排出。乾燥後に型を外します。中空ではない(中実)成形体の場合は、濃度の高いスラリーを流し込み、そのまま固まるのを待って型を外します。

鋳込成形に使われる粉末材料

セラミック製品の鋳込成形では、アルミナやジルコニアの粉末材料が多く使用され、半導体関連や産業機械の部品が生産されています。

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鋳込成形のメリット・デメリット

鋳込成形のメリット

中空の成形体が作れる

鋳込成形は花瓶のような薄肉中空の成形体の製造に適しています。ほかの方法では困難な中空の成形が行えることは、鋳込成形の大きなメリットです。

形状の自由度が高い

鋳込成形では、複雑な形状の成形も容易にできます。金型と比較して、鋳型(石膏型)は作りやすく、修正も容易です。

設備費が比較的安価である

鋳込成形ではプレス機や金型、射出成形機のような大掛かりな設備が不要なため、設備費が比較的安価になります。

鋳込成形のデメリット

大型製品の成形は困難

鋳込成形では、大型で肉厚な製品の成形は難しくなります。

鋳込成形では、石膏型の毛細管現象によってスラリーの水分を吸い出し、型の内壁に堆積層を作ります。この方法で大物の成形を行おうとすると、粉体の密度にムラが生じてクラックの原因となります。そのため、大型製品の成形には遠心力や圧力を利用するなどの対策が必要になり、設備が大掛かりになります。

このように、鋳込成形には大型製品の成形が難しいというデメリットがあります。

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他成形方法とメリット・デメリットを比較

プレス成形との比較

鋳込成形がプレス成形より有利な点は形状の設備費の低さ、不利な点は生産性です。

鋳込成形はプレス機や金型を必要としないため、設備費の面では鋳込成形が有利で、生産性の面ではプレス成形が有利です。鋳込成形も大量生産に適した手法ですが、スラリーの水分を型に吸わせる時間が必要となるため、プレス成形の生産性には及びません。

押出成形との比較

鋳込成形が押出成形より有利な点は形状の自由度、不利な点は生産性です。

鋳込成形には、押出成形に比べて形状の自由度が高いというメリットがあります。

押出成形で作られる成形体は、どこを切っても同じ千歳飴のような形状をしています。同一断面の成形体しか作れない押出成形に対し、自由に複雑な形状の成形が可能であるのが、鋳込成形の大きなメリットです。ただし、ハニカム状のように複雑であっても同一断面の成形は、押出成形が有利です。

生産性では、押出成形の方が優れています。

押出成形は、金型から連続的に押し出した成形品を固化していくため、大量生産に向いています。鋳込成形は石膏型の毛細管現象を利用するために成形サイクルが長くなり、生産性では押出成形に及びません。

射出成形との比較

鋳込成形が射出成形より有利な点は設備費の低さ、不利な点は生産性です。

鋳込成形は、射出成形より設備費を抑えることができます。

射出成形は、原料とバインダーを混錬したコンパウンドを、射出成形機から金型に充填することで成形を行います。製品ごとに金型を製作する必要があるため、費用面では鋳込成形が有利です。

成形サイクルが短い射出成形は大量生産に向いており、生産性では鋳込成形に勝ります。

まとめ

鋳込成形は、古くから陶磁器の成形に用いられてきた手法で、石膏型にスラリーを流し込んで成形を行います。石膏型は安価で修正も容易なため、設備費を抑えられ、少量生産にも大量生産にも対応できます。

ただし、石膏型の毛細管現象を利用してスラリーの水分を抜くため、他の成形方法より成形サイクルが長くなることに留意が必要です。

鋳込成形を行いたい場合は対応できる会社に相談をしてみると良いでしょう。

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