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切削加工と粉末冶金の違い

こちらの記事では、切削加工と粉末冶金の違いについて解説しています。それぞれの加工方法の特徴もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

そもそも切削加工とは

切削加工は、工作機械にて樹脂や金属の材料を必要な形状に削り出す加工方法です。切削加工は、大きく分けて以下の2つに分類されます。

さらに、「切削」と「送り」の2種類の動きがあります。これは、対象物を削り取る動きと、加工物または工具を動かし、新しい面の切削ができるようにする動きを繰り返しながら、作業を進めていきます。

粉末冶金とは

粉末冶金は金属加工技術のひとつであり、「粉を最終的な製品の形に近づけて固める」という点が特徴です。

例えば鋳造や鍛造、切削など他の金属加工技術の場合には、金属の塊を溶かす・削るなどして形を作っていきます。それに対して粉末冶金の場合は、まずあらかじめ合金化された微細な金属粉を精密に混合します。その後、金属粉を金型に充填した上で強い圧力をかけて成型体を作り、熱を加えて固化させる(=焼結)という流れになります。この焼結という工程を経ることによって、研磨や切削などの後加工をほとんど行わずに、高精度な製品を作れます。

材料を無駄なく使用できる点や、複数の種類の粉末を混ぜ合わせることによって、超硬合金など溶解法を用いた場合には作れない特殊な複合材料を作れる点、意図的に微細な空隙を持った機能性部品を作れるという点などがメリットであると言えます。

粉末冶金を用いて作られるものは数多くあり、電子部品や車、医療機器など、さまざまな場面で現代社会を支えています。

切削加工と粉末冶金の違いは?

ネットシェイプ・ニアネットシェイプによるコストダウン

粉末冶金は、「ネットシェイプ」または「ニアネットシェイプ」成形が可能であるという点が特徴です。

「ネットシェイプ」とは、成形をした後に加工せずに完成品に仕上げることをいいます。また、「ニアネットシェイプ」は完成品に近い状態に仕上げることです。二つ以上の部品を組み合わせ、焼結することで複雑な部品の製造ができます。

このような成型方法が可能であり、一度で最終製品の形状に近い形で成形が可能であるため、切削加工のように材料の削り屑がほとんど発生せず、材料の歩留まりが95%以上となります。この点から、原材料にかかるコストを大幅に削減できる点に加え、工具の費用も抑えられます。

超硬合金の製造

超硬合金は、炭化タングステンが主な材料です。ただし、炭化タングステンは融点が2,900℃であることから、溶解して製造することは難しいといえます。そのため、超硬合金を製造する際には粉末冶金法が用いられています。

具体的には、炭化タングステンを金属粉末にした上で1,300〜1,500℃の高温で焼結します。この場合の結合剤としては、コバルトなどの鉄系金属粉末が使われています。

切削加工・粉末冶金それぞれどんな目的で使われる?

切削加工を用いた場合には、高精度の加工を行うことが可能です。寸法精度に加え、用途に合わせて面粗度の調整も行えます。このような点から、切削加工は複雑な形状を持った金属製品を加工する場合や、試作品の製造を行うケースに向いているといえます。

粉末冶金は前述のとおりネットシェイプにより加工に伴うロスが少ないため、材料価格の高い金属を取り扱う場合にメリットがあります。また、金属を完全に溶かす必要がないことから超硬合金など融点の高い金属の製造に向いているという面があります。

粉末冶金・焼結でコストダウンが行えた事例

NTN株式会社による切削加工から焼結合金への置き換え事例

機械部品を製造する際の材料ロス・使用エネルギー低減が可能な方法のひとつとして、粉末冶金法があります。ただし、この方法は金属粉を押し固める方法であることから、内部に微少孔ができやすく、切削加工を行って製造する製品より疲労特性が劣る点が課題となっていました。

このような背景から、NTN株式会社では材料粉末や成形・焼成条件を工夫することによって、1cm2当たり6~10トン程度の比較的低い成形圧力により、真密度比95%以上の高密度焼結体の製造を実現しています。さらに、独自の熱処理技術を組み合わせて、1回プレス・1回焼成品にて疲れ強さ300MPa以上を達成。この点から、精度・耐久性の観点から切削加工で製造していた動力伝達部品を焼結合金に置き換え可能になったことに伴い、切削加工に伴う材料やエネルギーロスの抑制に繋げられています。

参照元HP:NTN|世界最高水準の「焼結合金」製造技術を開発
https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news201200019.html

株式会社アトライズヨドガワの金属冶金によるコストダウンした事例

以前はフランジとボス歯車を個々に歯切りし、二つの部品を組み立てていました。そのため、噛み合い精度が低く、製造コストも高い状態でした。粉末冶金の焼結により一体化するように変更したところ、噛み合い精度は1級となったことに加えて、50%のコストダウンを達成しています(1ピッチかみ合い精度:14μmから8μm、全かみ合い精度:50μmから25μm)

参照元HP:ものづくりVE技術ナビ |設計者・開発者が知っておきたい粉末冶金の概要と4つのVE/VA事例[※PDF]
https://manuf.atryz.co.jp/wp-content/uploads/粉末冶金の概要と4つのVE_VA事例.pdf

粉末冶金に欠かせない「粉末成形機」

金型を使用し、粉末材料を希望する製品形状に圧縮するためのプロセスを粉末圧縮成形と呼びます。高い圧力をかけて圧縮することによって、後の工程まで形状を保持可能な成形体を作ることが可能となります。このように、粉末材料を金型に充填し、高圧で圧縮・成形を行う機械が粉末成形機であり、粉末冶金に欠かせない機械です。

この場合、成形金型の構造が比較的単純であるため、複雑な部品の製造には向いていないものの、高い融点を持つ合金や硬質合金、タングステン・チタン・アルミニウムといった特殊金属の生産に向いています。

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