粉体の流動性とは、粉体粒子がどの程度スムーズに動くかを示す物性です。粉末成形では、金型内に粉体を均一に充填する工程が成形品質を大きく左右します。
流動性が低い粉体は金型の隅々まで行き渡りにくく、充填ムラが生じやすい傾向にあります。密度が不均一なまま加圧成形を行うと、クラックや層状剥離などの不良が発生するリスクも高まります。
粒度分布や粒子形状も流動性に影響を与える要因の一つです。球状に近い粒子は粒子間の接触面積が小さく流動しやすい一方、不定形の粒子は摩擦の増大によって流動性が低下しやすくなります。
粉末成形機で安定した品質を得るには、使用する粉体の流動性を事前に把握しておくことが欠かせません。流動性の評価は、成形不良を未然に防ぐための重要な工程と位置づけられています。
流動性の測定・評価に用いられる指標は複数存在し、それぞれ異なる側面から粉体の動きやすさを捉えます。代表的な指標は、圧縮度・安息角・スパチュラ角・凝集度(均一度)の4項目です。
圧縮度は、ゆるみかさ密度とかためかさ密度の差から算出する指標です。ゆるみかさ密度は粉体を自然落下させて容器に充填した状態、かためかさ密度はタッピング操作で詰めた状態の密度を指します。流動性の高い粉体はタッピングによる密度変化が小さいため、圧縮度は低い値を示します。
安息角は、粉体を平面上に自然堆積させた際に形成される円錐の斜面角度です。流動性が高い粉体ほど広く平らに広がるため、安息角は小さくなります。一般に40°以下であれば流動性が良好な粉体とされています。
参照元:構造計画研究所|【粉体】Vol.7 粉体の流動性(https://www.sbd.jp/column/powder_vol7_flowability_of_powder.html)
スパチュラ角は、平板(スパチュラ)で粉体を掬い上げた際の斜面角度を測定した指標です。安息角が静的な堆積状態を評価するのに対し、スパチュラ角は粉体に外力を加えた条件下での流動特性を捉えられる点に特徴があります。
凝集度は、目開きの異なる複数のふるいを用いて粉体の凝集しやすさを数値化したものです。値が高いほど粒子同士が付着しやすく、流動性が低いことを意味します。流動性の高い粉体には、凝集度に代えて均一度(分散度)を用いて評価を行います。
Carrの流動性指数は、圧縮度・安息角・スパチュラ角・凝集度(均一度)の4項目を統合した総合評価指標です。各項目の測定値を所定の換算表に基づき点数化し、合計値を0〜100の範囲で算出します。
指数は7段階に分類されており、値が大きいほど流動性が優れていることを表します。粉末成形機の導入検討時や粉体の選定場面で活用すると、候補材料の取り扱いやすさを客観的に比較できます。
異なるロットや異なる種類の粉体間で流動性を統一基準のもとに評価できる点が、Carrの流動性指数の利点です。品質管理や原料の受入検査など、粉体評価の実務で広く用いられています。
参照元:構造計画研究所|【粉体】Vol.7 粉体の流動性(https://www.sbd.jp/column/powder_vol7_flowability_of_powder.html)
Carrの流動性指数は、無荷重下での測定結果をもとに算出されます。実際の粉末成形工程ではスクリューフィーダーや加圧装置による荷重が粉体にかかるため、測定値と実環境での挙動が一致しないケースも少なくありません。荷重下の流動特性を把握する手段として、せん断試験などの評価手法を組み合わせることが有効です。
粉体の流動性は、粉末成形の品質を左右する重要な物性です。圧縮度・安息角・スパチュラ角・凝集度の個別指標に加え、Carrの流動性指数を活用することで流動性を総合的に把握できます。粉末成形機の導入や運用改善を検討されている方は、粉体の流動性評価を実施し、専門家への相談や詳細な試験もあわせて検討してみてください。
引用元HP:三庄インダストリー公式HP
(http://www.sanshoindy.com/)
引用元HP:小林工業公式HP
(https://www.kobayashi-akita.co.jp/)
引用元HP:大伸機工公式HP
(https://daishin-kikou.com/)